日も短くなり、気温も下がってきましたね。今回は、漢方薬について書いてみようと思います。
漢方薬は、日本で広まった中国(漢)に由来する医学から考えられた薬です。江戸時代までは広く受け入れられていましたが、明治時代に西洋文化が一気に広まってくると、煎じて服用する漢方薬は手間がかかるため使われることが少なくなっていきました。しかし昭和にはいると、漢方薬の有効成分だけを抽出し粉状にしたエキス製剤が販売されるようになり、服用が簡単になって見直されるようになりました。
漢方薬は普通、複数の生薬(自然に存在する植物等で、経験のなかから薬としての効果があるとわかっているもの)を配合して作られます。
例えば
- 桂枝湯:桂皮・芍薬・甘草・生姜・大棗 → 体力があまりない人向きの風邪薬
- 葛根湯:桂枝湯+葛根+麻黄 → 体力がある人向きの風邪薬
- 桂枝加芍薬湯:桂枝湯+芍薬を追加 → 体力の落ちた人の腹痛や下痢、便秘に効果あり
このように、構成される生薬の種類や分量によって多種多様な漢方薬が存在します。ただ、保険が適用されるものは限られています。
漢方薬は、西洋薬よりもマイルドなイメージがありますが、複数の生薬を配合して作られているため、何種類もの漢方薬を自分で適当に服用してしまうと、ある生薬を多量に摂取してしまっている可能性があるので、薬局や病院で確認してもらって下さいね。
〈参考文献〉佐藤 弘,吉川 信『いちばんわかりやすい東洋医学の基本講座』成美堂出版、2012年。